君と始める最後の恋
「え?」


初めて先輩から手を繋いでくれて、繋がっている手から体温を分け合っていく。


「夜だし、人通り少ないから。」


そうぶっきらぼうに言う先輩が好きで仕方ない。

こうやって最後には私の我儘を聞いて甘やかしてくれる。


「大好きです、類くん。」


そう伝えると先輩の顔がこちらに向く。

少し驚いた様なそんな顔。

類くん呼びがその表情を見て恥ずかしくなってくる。

勇気出してみたけど、何も反応してくれないから尚更恥ずかしい。


「…あっそ」


それだけ返すと私の手を引いてどんどん歩いていく。

もう少し歩いたら私と類くんが離れなきゃいけない所まで来ちゃう。

どうしよう、離れがたい。

そんな事を考えていると類くんの家の方向に向かっていた。
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