君と始める最後の恋
見つめ合うと類くんはゆっくりと顔を近づけてそのまま唇を重ね合わせる。

初めてのキスではないのに心臓が止まってしまいそうなほどドキドキ早く動いている。

さっきまで沢山悩んでたのに類くんに触れられるだけでそれ以外は何も考えられなくなる。

食べられるみたいに何度か唇を重ね合わせてゆっくりとソファーに押し倒される。

もう2人とも大人だし、二人きり、それも恋人にもなればこんな展開になって当然だと思う。

押し倒されて唇が離れれば、先輩と見つめ合って私の反応を伺ってきている。


「る、類くん…。私、いっぱいいっぱいで…。」

「うん…、俺も。」

「類くんも?」

「いっぱいだけど、こんなに触れたいって思うの君だけ。」


そう言って優しく微笑んでくれる類くんに胸がきゅうっと締め付けられる。

好き、類くんが大好きなの。

どうやったらもっと伝えられるの。

先輩からの好きはこんなに伝わってくるのに返しきれない。

そして囁かれる言葉。



──────君は、何も考えずそのままでいてよ。全部俺がしてあげるから。




そんな甘い言葉で降り注がれる愛の雫を必死に受け止める、一滴たりとも溢さない様に。
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