君と始める最後の恋
午後から外回り研修も終えてこのまま会社に戻っていこうとしている車内の中での事だった。

少し休憩がてらコーヒーショップに立ち寄って2人分購入して車の中で口にする。


「俺まで良いんですか?」

「別にいいよ。俺が飲みたかっただけだし。」

「ありがとうございます。」


律儀にお礼を言う小川の言葉を受取り、ノートパソコンに目を通す。

仕事中あまり話をする方ではないけど、今日の小川は何かを話したそうにしていた気がした。

それも多分仕事の話ではない。

それで俺に話したい話ってなると


「(間違いなく、郁のことだろうな。)」


彼女は部署内で中々人気があるけど、本人は全く気付いていない。

最近になるまで小川の好意に気付かなかった辺り、かなり鈍感だと思う。

俺もそんな鈍感さに振り回された1人だけど。


「俺、郁さんに告白しました。」


急に振られた話題に俺は特に反応すること無くコーヒーを口付ける。

知っていたし、聞いていたから。
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