君と始める最後の恋
「…そう」

「何も言わないんですか。」

「何を言って欲しい?」


そう問い掛けると小川は口を噤んでいる。

俺は小川の素直な所が嫌だなと思う反面、嫌いじゃなかった。


「(尽く郁にそっくりなんだよ、君のそういう所。)」


本当に嫌にもなる反面、可愛い後輩だとも思えてくる。

それに優秀で、一緒に居て楽ではある。


「…何を言ってほしいと言うか、隠したくなかったので。」

「そう」


返事をしてコーヒーを車内のドリンクホルダーにはめた。

ノートパソコンから目を離して一度止めると、小川に向き直す。

まっすぐこちらを見てくる目も本当…。

そもそも言うって聞いてただけに驚くとかはないし、そもそも報告が律儀すぎる。
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