君と始める最後の恋
恐る恐る鞄を顔の前から下げると、呆れた様な表情で声を掛けてくる一ノ瀬先輩に、隣の女性が一ノ瀬先輩と私を交互に見ている。
「類くん、この方は?」
「後輩、最近入ってきた。」
「ああ、この方がそうなの!お話聞いてました!私、白羽 沙羅って言います!類くんの義姉!」
「義姉じゃないだろ、まだ。」
まだ…?
一ノ瀬先輩の言い方にも沙羅さんの発言にも何もかも気になったけど、どこからツッコんで良いのか。
「あら、もう時期なるわよ。それにずっと弟みたいなもんだし。」
そう言って笑う白羽さんに一ノ瀬先輩も笑い返してはいるものの、複雑そうなその表情が離れない。
ああ、きっと白羽さんは一ノ瀬先輩のご兄弟と結婚される予定で、それでいて一ノ瀬先輩ともずっと親しい間柄だった。
そして一ノ瀬先輩は今この女性に
────叶わない恋をしてしまっている。
気付くとなんとも苦しいもので、一ノ瀬先輩の気持ちを考えると何も言葉は出てこなかった。私が掛けられる言葉なんて見当たらなかったのだ。
好きな人が義理のお姉さんになるなんてどんな心境かなんて、私如きに計り知れるはずがない。
私には想像も出来ない程の痛みだとはわかっているのに、それでも苦しくなる。
「類くん、この方は?」
「後輩、最近入ってきた。」
「ああ、この方がそうなの!お話聞いてました!私、白羽 沙羅って言います!類くんの義姉!」
「義姉じゃないだろ、まだ。」
まだ…?
一ノ瀬先輩の言い方にも沙羅さんの発言にも何もかも気になったけど、どこからツッコんで良いのか。
「あら、もう時期なるわよ。それにずっと弟みたいなもんだし。」
そう言って笑う白羽さんに一ノ瀬先輩も笑い返してはいるものの、複雑そうなその表情が離れない。
ああ、きっと白羽さんは一ノ瀬先輩のご兄弟と結婚される予定で、それでいて一ノ瀬先輩ともずっと親しい間柄だった。
そして一ノ瀬先輩は今この女性に
────叶わない恋をしてしまっている。
気付くとなんとも苦しいもので、一ノ瀬先輩の気持ちを考えると何も言葉は出てこなかった。私が掛けられる言葉なんて見当たらなかったのだ。
好きな人が義理のお姉さんになるなんてどんな心境かなんて、私如きに計り知れるはずがない。
私には想像も出来ない程の痛みだとはわかっているのに、それでも苦しくなる。