君と始める最後の恋
私の顔を見ていた先輩がどんどんと冷めた表情になっていく。


「何で君がそんな泣きそうな顔してるわけ。」

「だって、先輩…。」

「…バカじゃないの。君には関係ないじゃん。」


そう言いながら少し面倒臭そうな表情を零した後、泣きそうな私の手首を掴んで人気のない路地まで引っ張る。

その頃には私は涙が止まらなかった。

きっと引っ張ってもらわなきゃ前なんて見えない。

何で私も一ノ瀬先輩の気持ちを知ったからって涙が止まらないのか、説明がつかなかった。


「泣きすぎなんだよ。何で君が…。うざ。」


先輩はやりにくそうに顔を逸らしている。

私が落ち着くまで一ノ瀬先輩はその場に居てくれた。

ただただ何も言わずに、私が落ち着くのを待っている。

そのままその場に置いて帰る事も出来たはずなのに、置いて帰らずそのままずっと傍に居てくれた。




𓂃𓈒𓂂𓏸




「…落ち着いた?」

「…はい、すみません。」


大号泣の挙句、先輩を拘束。

本当に大馬鹿者すぎる。

一ノ瀬先輩は呆れた様に溜息を吐いて、私のボロボロの顔をハンカチで軽く拭いてくれる。

何でこんな時まで優しくしてくれるのか分からない。
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