君と始める最後の恋
午後から戻ると、すぐに辞令は出ていた。

次の配属先は、営業3課の営業補佐。

同じフロアに入るけど、島が変わるので関わりがある様な無い様な。

だけど遠くから類くんを眺めていられる。

残り1週間だけ類くんの補佐で居られる。

寂しい様な、新しい関係性に楽しみな様な。

類くんはメールで辞令を確認したのか驚く様子も何もなく、左手でマウスを掴んで何度かクリックしている。

相変わらず何考えているかわからない無表情さ。

寂しいとか、思ってくれてるわけ無いよな。

仕事だし、とか言いそうな類くんが容易に想像着く。


「沙羅がさ」

「へ?」


急に出てきた沙羅さんの話に拍子抜けした。

何の話してんだ、この人。


「生まれてから大分余裕も出来て会いに来てって言ってた。最近会えてなかったし、寂しかったんじゃない?沙羅も君も」

「そっか…会いたいです!って就業中にこんな話珍しいですね」

「隠す必要無くなっていつ話しても一緒でしょ、ただの雑談と一緒」


そう言いながらマウスから手を離すと、キーボードに手を置いていた。

もしかしてこういう楽しみもあるよねって教えてくれてる?

思い込みかもしれないけど態々このタイミングでこの話したのがそんな気してならなくて思わず笑ってしまう。


「何、笑ってる余裕あるの。」

「先輩、ツンデレすぎです。」

「余裕そうだね、随分と。」


もちろんタスク量増えた。
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