君と始める最後の恋
「…ごめん、先に整理したいし今日は先戻るね。2人ともゆっくりしてて」


そう言って席を立ってその場から離れた。

まるで私と結絃にこれから何か起きるみたいな言い方にあまり気分は良くない。

類くんを好きになってどんなに想ってきたかわからないとは思うから当然だけど、それでも私が今から結絃を選ぶ事は無いし結絃だって私を何とも思ってるわけ無い。

初日からやりにくさを感じつつ、カフェスペースに逃げてきてしまった。

今は社食に人が集まってるのでカフェスペースの人は少ない。

ようやく息が吐けた気がする。

こんな事になるなんて思ってなかったし、こんな様子だと結絃も困らせてしまう。

ひとまず私にはただの同僚として接するしか無いし、どうしようもないよね。

やっと色々悩みが解決した矢先の出来事に頭を抱える。


「何その死にそうな顔。」


自販機の前、隣から声が聞こえて顔を上げると類くんがいて自販機に小銭を入れてボタンを押している。

カップの中にコーヒーがゆっくりと注がれていくのを私はボーッと見ていた。


「お疲れ様です。」


その場を離れようとすると腕を掴まれる。

突然の事に驚くと類くんが離さずにこちらを見ている。


「どう、したんですか。」

「また悩もうとしてるの?1人で。」

「悩んでなんかないですよ、やだなぁ」


そう言って目を逸らすも類くんの突き刺すような視線が痛い。
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