君と始める最後の恋
「…類くん、私はどこにも行きません。ずっと一緒です、ずーっと!離れてなんて言われても離れないですし、ここにずっと居ます。」


そう言って少しだけ体を離して類くんの頬を両手で包む。

傷付いた子供みたいな表情して、こちらを見ている類くん。

こんな表情見た事ない。

その顔も愛おしくて仕方ない。


「…本当は嫌だった、誰かの補佐に君がなるの。」

「はい。私も、先輩の補佐は私が良かったです。」

「だけど、恋人だって堂々と言えないものも嫌だったんだよ」


類くんのぽつらぽつらと零す言葉を私は相槌を打ちながら聞く。

気持ち、全て分かる。

むしろ私にしか分からないから、この類くんの気持ちは。

こんなに零す我儘も全て私が受け止めたい。


「…てか、何で元彼と仕事仲間とかに…。そんでまだ君の事好きとか、ドラマみたいな話起きないでよ。」

「ええ?私達の方がドラマっぽくありません?初恋の相手をずっと好きな先輩を落としたポンコツ後輩。」

「…何それ、バカじゃないの。」


そう言ってほんの少し笑う類くん。

その顔がすごく優しくて、私も笑ってしまう。
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