君と始める最後の恋
「君の最後も含めて全部俺が欲しい。」

「え、いや、それはもちろんですけど…、え?」


困惑の色が強すぎて受け止めきれずにいる。

この人こんな風にプロポーズなんて出来たの?

と若干失礼な事を考える私と

一ノ瀬 郁になれちゃうとか前世でどんな得を詰んだんですかー!?私ー!?

と叫んでいる私が居た。

何も現実味も湧かないプロポーズなのに、心臓の音はすごく早くてドキドキしてしまっている。


「い、一ノ瀬 郁って事ですか?」

「…嫌なの?」

「そんな!嫌なわけ!えっ!?もう返しませんけど!?いいですか!?」

「バカじゃないの。」


そう言いながらも笑う先輩は嬉しそうで、幸せそうで、再度私の体をぎゅうっと閉じ込めるように抱き締める。

こんなに甘いなんて、詐欺じゃないですか…。

塩な先輩が時々砂糖になるのが最高、なんて思ってたけど今は砂糖しか来ない。

こんなに甘いなんて聞いてない。
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