君と始める最後の恋
「今日はそんなに遅くならないと思う、ていうか半休取れそうなら取ってくる。」

「はい、全然ゆっくり待ってます。」

「…うん、じゃあ行ってくる。」


そう言いながら玄関先に向かう類くん。

靴を履いたのを見てランチバッグを渡すと「ありがとう」と言いながら受けとってくれる。

この瞬間、私1番奥さんしてるって感じする。


「あ、類くん」

「…はいはい」


名前を呼んだだけで何のおねだりか分かってしまうらしい類くん。

私が目を閉じるのを見て軽くちゅっと音を立てて唇にキスを落としてくれる。

この行ってきますのちゅーは絶対して!の私の我儘を聞いてくれている。


「…オシャレして待ってなよね。」

「はい、任せてください!」

「ん、行ってくる」


そう言って玄関の鍵を開けて、家を出ていく。

私はそんな姿に手を振った。
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