君と始める最後の恋
「…オレンジジュース飲み終わるまでは傍に居てあげます。しょうがないので」

「生意気じゃん。」

「そうですよ、生意気です」


近くの芝生の所まで来て2人で一緒に並んで座る。

私は本当大馬鹿。

好きだから突き放せないとか言ってる場合じゃないのに。

貰ったオレンジジュースに口をつける。


「君さ、あの日ぬいぐるみ置いてったでしょ。」

「あ…、そういえば…。」


そうだった、貰ったレッサーパンダのぬいぐるみをあの日置いて帰った。

もう自分の鞄だけを持って立ち去る事に必死で、ぬいぐるみの事をすっかり忘れていた。


「あれ見る度に君の事思い出しちゃって笑いそうになる。」

「…言うほど似てないと思いますけど。」

「そっくりでしょ。威嚇の仕方とか。」


そう言いながら楽しそうに話す先輩の顔から目が離せなくなる。

その笑顔が好きで、ずっと見ていたいのに同時に凄く苦しくなる。


「似てるとかいうの先輩だけです。」

「俺だけでも良いけどさ。おかげでいらないのに捨てられない、あのぬいぐるみ。」


バカじゃないんですか、本当に。早く捨ててくださいよ。

先輩の一言一言に毎度期待してしまう。

期待したって先輩が振り向く事なんて無いのに。
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