君と始める最後の恋
残業から2時間程経った頃、時刻は既に20時を迎えそうだった。

スマホを見てそろそろ帰ろうかと思っていた時に、沙羅さんから連絡が入っていた。


「（沙羅さん…？）」


この時間の連絡は珍しくて、緊急な気がして急いでメッセージを開く。


«郁ちゃん、今から会えないかな»


そんな沙羅さんらしくない絵文字が一つも付いていない連絡が入っていた。

気にしすぎかもしれないけど、気のせいだと流せない程の数々の違和感があった。

この時間に会えないかななんて、沙羅さんは誰よりも気を遣われる方で、こんな時間にこの連絡は余程の事があったんだと思う。

私はすぐに会えると返事をしてカフェで待ち合わせをした。





𓂃𓈒𓂂𓏸






待ち合わせをした沙羅さんと合流するといつもの元気がなかった。

違和感をそのままにしなくてよかった。

何かあったんだ。


「沙羅さん、どうしたんですか？」

「充くんと喧嘩しちゃって、家飛び出てきちゃった。」

「え！？」


思わぬ話に驚くと沙羅さんは少し苦笑いしていた。

沙羅さんと充さんでも喧嘩する事あるんだな…なんて意外な話に、恋人同士なら喧嘩もおかしくないのに少しオーバーに驚きすぎてしまったと反省する。
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