君と始める最後の恋
歩き進めると後ろから「沙羅!」と声が聞こえてくる。

その声の方向に2人で振り向くと一ノ瀬先輩だった。

心配して探しに来てたんだな。

近くまで走ってきて私達の前に立つ。


「沙羅、何してんの。家出するなんて。」


その声が本当に心配して焦った声だったけど、無事だったと知った時の先輩の優しい表情で嫌になってくる。

分かっていたのに、そんなこと。

でもいざ目の前で見てしまうとショックを受けてしまう。

まだまだ私は前を向けていない様だ。


「ごめんね、心配かけて。大人しく帰るから。」

「あ、じゃあ、後先輩にお願いしてもいいですか?」


そう笑うと先輩の目がようやくこちらに向く。


「何で、君は?」

「私は1人でも平気です!今は、沙羅さんに着いていてもらえると。私も仕事で疲れちゃったし」


そう笑って「お疲れ様です!」と背を向ける。

今離れとかないと2人の前で泣く事になる、そんな姿見せたくない。

急いでその場から立ち去ろうとすると、腕をガッと掴まれて前に進もうとしていた身体が引き止められる。
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