君と始める最後の恋
集中して…って、私今日ずっと先輩の事しか考えれてないし。

そんな私の想いなんて知る由もなく、先輩は手に持っているネクタイを私に見せてきた。


「どっちが良いと思う？二択まで選んだ。」

「あ、でも先輩はこっちのシンプルなヤツのほうが…。」


そう会話を一緒にしながら、変わらずネクタイを選ぶ。





𓂃𓈒𓂂𓏸





また前の様にお店の中を見回ってショッピングをして夜ご飯を食べた後、帰り駅まで一緒に歩く。

今日もしっかり夜まで楽しんでしまった。

毎度学習しないの何なんだろう、私。

自分でまたデートの様に楽しんでしまった事に毎度ながら呆れる。

前まで気まずいとか思っていたのに、気まずいどころかしっかり楽しかった。

そう考えていると、先輩が「あのさ」と声を掛けてくる。

その声で先輩の方に向くと、何やら小さめの紙袋を渡してきた。


「君の結婚式当日の服装の事とかわかんないし渡すか悩んだんだけど、もしあれなら使わなくていいから。」

「え？」


受け取っても良いのか悩んでいると、先輩が強引に私の手に握らせる。

いつの間にかお手洗いの間に新しい紙袋が増えているなあとは思っていたけど、まさか私にだとは思っていなくて少し驚いた。
< 89 / 286 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop