ほんとの初恋
仕事終わりに俺と五十嵐、あと兄貴と山之内にも来てもらって。

俺の二股疑惑に兄貴が驚いた。
「おまえは家を出て何をやってるんだ」
偉そうにしているが、「落ち着け。一人は咲良だぞ」
言った途端、真っ赤になって
「おまえは咲良に手を出したのか!」
まったく咲良の話になると何も考えられなくなるようだ。
「今日、咲良にスマホを届けに病院まで来させたよな。
その時大きな声で、昨日ホテルに忘れたって言ったんだけど」
「???」
「俺は咲良とホテルに泊まってないだろ。納得してくれた?」
兄貴だけじゃなく、後輩の二人にも聞いてほしかった。
ばつの悪そうな兄貴は小さな声で、「なら、もう一人の人が…」
後輩の二人を見ている。
「そもそもこの二人は後輩で付き合ってないし、それ以前に誰とも付き合ってない。
今誰とも付き合う気がない」

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