ほんとの初恋
翌日、休みのはずの五十嵐がナースステーションにいた。

｢賢人先輩、昨日はご馳走様でした｣
大きな声で言うな！
周りの視線がいつも以上に刺さってくる。
｢昨日の幼なじみの方、お兄様の奥様だったんですね。溺愛されてるの凄く感じました。美鈴ともあんなに溺愛される相手、見つけないとって話してたんです｣
おや？
廻りの雰囲気が変わっていく。
空気も冷たくない。
｢整形外科、昨日までだったんで挨拶に来たんです。
来週からは小児科なんですが、またご飯誘ってくださいね｣
ぺこりとお辞儀して、サッサと行ってしまった。

一瞬で空気を変えていった五十嵐に感謝。
わざわざ誤解を解きに来てくれたんだ。
｢お兄様来られてたんですか？｣
冷たい視線から急に雰囲気が変わり廻りに女性が集まってきた。
今までは面倒だったが、今日は丁寧に接しよう。

暫くして山之内が退職して、実家の病院に戻ったと聞いた。

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