ほんとの初恋
一難去って、また一難。
グラスを持って増田が俺の隣にやってきた。

「おまえ達も来てたのかよ。誘ってくれないなんて寂しいなぁ」
おどけているが増田がいつもと違う。

「五十嵐に『付き合ってる振り』頼まれて…」
何とか誤解を解かないと、増田と付き合ってるんだよな?
「俺、郁ちゃんに告ったんだけど、振られちゃって…」
増田が言い終わらない内に、かぶるように「あれは振ったんじゃなくって…」
俺、ここに居ても大丈夫か?
巻き込まれたくないんだけど。
「本当に研修医を頑張って一人前になってから、恋とか誰かとお付き合いしたいと思って」
相変わらず真面目なやつ。
「俺さ~、研修済んだら実家に帰ろうと思って。
で、郁ちゃんが一緒に来てくれたらなぁって思ってたんだけど、2年はね~、待てないよね~、俺だって健康な男の子だし。
てことで、郁ちゃんの事よろしく」

「あの私…、明日があるんで帰ります。
賢人先輩、ありがとうございました」
いつもの元気なぺこりとお辞儀して帰っていった。

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