ほんとの初恋
高校生になってもまだ懲りない。
専務さんと一緒にお正月や何かにつけて賢人君ちにやってくる。
「雅が賢人君のことが気になるみたいで」なんて父親までもが話してる。
最近では本当に賢人君の事が好きなのかどうかよく判らない。
あんなに嫌がってるのにおじ様もおば様も気づいてないんだろか?

ある日、クラスメートが「稲垣君、探してたよ、図書室まで来てほしいって」
委員会かなんかの話しだと思ってきたら…。

「咲良、話があるんだろ」

「???」
呼び出されたから来たんだけど。
て言うか、何か用事があったんじゃ無いの?

「言いにくいの?
別に俺は付き合ってやってもいいけど」
なんかニヤニヤして近づいてくる。
気持ち悪い。

誰かいないの?
助けて!
稲垣君に向かって近くの椅子を投げつけた。
「何でそんなことをするの?
素直になれば良いのに」
どんどん近づいてきて、投げつけた椅子が足の上に倒れてきた。
大きな音がして、「俺、何もしてないし」、叫んで慌てて部屋から出て行った。

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