ほんとの初恋
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「雅も凄いこと考えるよねぇ」

「確かに、雅にとって咲良は邪魔だもんね」

「稲垣君は咲良の事好きだし、簡単に欺されちゃって」

「今頃、どうなってるんだろ」

図書委員の咲良が図書室に行ってくると言っていた。
今の会話はなんだ?

「ちょっと良いかな?」
俺が声を掛けるとばつの悪そうな顔をしてる。
「別に…。」
蜂の子を散らすように逃げていった。

絶対にまずいやつ。
俺は図書室まで急いだ。
途中で雅に声を掛けられたが相手になんかしてられない。

図書室の扉を開けると、ちょうど慌てて出てくる稲垣に出くわした。
目が合うと逃げるように走って行った。

部屋の中には椅子の陰で泣いている咲良がいた。

うちの咲良に何をした!
許せない。
追いかけようと思ったが咲良に止められた。
何もなかったから、誰にも何も言わないでと。

あれから俺は今まで以上に咲良を守った。

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