ほんとの初恋
兄さんは大学卒業後、当たり前のように父さんの会社に入った。
俺は廻りから「おまえは頭が良いんだから医者でも弁護士でも好きな者になれば良い」と言われた。
兄さんは期待されているが自由がない。
俺は当てにされてないが自由があった。
こんな自分の環境に満足している。

兄さんは結婚までも諦めてる。
父さんが選んだ人と結婚しようとしている。
そこまで我慢する事なんてないはずなのに。

兄弟仲は良い方だと思う。
兄さんには幸せになってほしい。
今、近くにある幸せを見つけてほしいけど自分のことは判っていない。
廻りのみんなが気づいてる咲良の気持ちに気づいていない。
あの呑気なお嬢様の母さんでさえ気づいているのに。

俺が咲良を守れるのは高校卒業までの事だから。

最近兄さんに見合の話が来るようになってきた。
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