ほんとの初恋
当然だが服部雅との結婚は白紙になった。
それにしても兄さんに変化はない。
結婚ってそんな程度のものなのか?

俺は子供なのか、はっきりしない兄さんにイライラした。

リビングで二人だけになった時、聞いてみた。

「結婚したいの?」

「別に…」

「じゃ、どうして?」

「そろそろかなぁと思って」

「咲良はダメなのか」

「おまえは良いのか」

俺?
俺は咲良のことを、同い年だけど妹のように…。
でも、「俺は二人共に幸せになってほしい」
この気持ちに偽りはない。

「本当に?
…、判った。ありがとう」
何が判ったのか、なぜありがとうなのかよくわからない。
とりあえず、嬉しそうな兄さんの顔を見ることが出来た。
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