小さな悪戯大きな災い

 日本なのに外国の行事を当たり前のように実行するのはどうなんだろうか。

 クリスマスなんかがいい例だ。
 まあ、バレンタインデーとか、日本の商戦故に発達したイベントごとだろう。
 日本人はお祭りが大好きです。
 私も大好きです。
 お祭りハイテンションイエア☆

 我を忘れて騒ぎたい気持ちはわかるんだ。
 祭りマジックといえる、異様な告白率とか行動力には目を見張るものがあるんだ。
 いいじゃない、祭りマジック。
 祭り大好き。
 イエア☆

 …うん、現実逃避なんだ。わかってくれてありがとう。
 別にこんなテンションで生きているわけじゃないから頭の心配はしないでほしい。ちょっと混乱しているだけだから。
 うん、私は混乱している。

 何にって、今目の前のこいつにだ。

「ちょっと、人の話はちゃんと聞きなさいよ」
「聞いてるからちょっと、離れてくれない?」
「逃げるからダメよ」

 目の前のこいつは、がっちり私の腕に抱き着いて離れない。柔らかいものが当たってますよご褒美ですかありがとうございます。いや私は親父じゃない。何のご褒美にもならない。むしろ自分の貧相さに打ちひしがれる。やめてくれ。私は貧乳じゃないスレンダーなんだ。

「で、あたしはどうしたらいいと思う?」
「まさしく私が聞きたい」
「あたしが先に聞いたんだからこっちが先よ!」
「いやでも、先とか言われても」

 ちらりと、目の前のものを凝視。
 重病経過、変わりなし。
 あ、間違えた十秒だよね。いけないいけない。でもなんだろう誤字じゃない気がしてならない。これは重病だ。目の病気だ。私は空いた方の手で目元を覆い、天を仰いだ。ああ、医者が来い。

「…なんで、猫耳…」

 ハロウィンはもう過ぎたじゃないですか、やだー。

< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop