小さな悪戯大きな災い

 猫怖い。
 私の使い魔も鳥系なのでダメだ。喰われる。猫怖い。
 というか誰だこんなものお菓子に混ぜだの。ちょっとしたお茶目かもしれないけどその人にとってもタブーはあるんだからむやみに「萌え☆猫耳」とかやめてほしい。あれに萌えることができるのは猫が好きな人だけだから。本当に。やめてほしい。

 遠い目をしていたのを現実に戻した瞬間、私は見た。
 彼女のスカートからゆらゆら揺れる、尻尾を。

「生えてうあkじゃksdh;あlふぃうぇhば;kば!!」
「は?」

 だめだー!! まじでだめだー!! なにこれ怖い進化してる!? 最終的に猫になる!? なったらどうしようどうしたらいいのくしゃみしまくる猫とかどうしたらいいの呼吸平気なの!? というか怖いんですけど猫を使い魔に選ばなかったのは本当に猫が怖いからなんです勘弁してくださいお願いします先生助けて!!

「ねえちょっと、だからあたしどうしたらいいの? っしゅん、ず、痒い…泣きたくなってきたんだけど…なんか目も痒くなってきたんだけど…!」
「ああ可哀相!! 鼻がすごく可哀相! でも私も可哀相! 猫マジ怖い!! 尻尾! 尻尾生えてうえあがldkfはg;おいh!!」
「は? …ん、わー、マジだ。やだなにこれ怖い。つーかキモイ。ぐす、」
「もうだめだこれダメだマジでダメだせんせぇええええええええええ!! 誰でもいいからせんせぇえええええええ!! 生徒の危機です助けて怖いマジ怖いなにこれ猫怖いぃいいいいいいい!!」

 アレルギーと恐怖で動けない私たちを助けてくれたのは通りすがりの後輩でした。
 マジありがとう後輩。でも後輩に情けないところ見られて本当に泣きたくなった。

 ちなみに犯人は小動物大好きな女性の先輩。「ハロウィンだし、魔女だし、ときたら小動物は猫よね! 萌えよね!」という発想からの行動だったらしい。まさかの事態に後日謝罪に来た先輩は大変申し訳なさそうだったが、絶対いつか復讐したいと思う。そう、クリスマスの時なんかに。

 イベントではっちゃけるのは日本人だし仕方ないよ。私もそうだよ。
 だけど節度は守ってくださいお願いします!

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