明けない夜はきっと無い…

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そう言えば…
ヤクザって一体何をするのだろうか…?

昔の任侠物で言うと、酒を飲み、賭博し、えーと、喧嘩三昧…みたいなイメージだけど…

しかし、目の前のヤクザは、タワマンのペントハウスに住み、仕事も良く分からないし…

そもそも、ヤクザって仕事してんの???

いや、それはしてるでしょ…!
流石に!

天からお金が降ってくるわけじゃ無いものね。

だけど…

そんな事を考えていると、暁さんが言った。

「夜宵、出かけるぞ。」

えーと…

これは、もしかして、ヤクザの仕事を知るチャンス!?

って、そんなの知ってどーすんのよ!!?

私は自分にツッコミ入れる。

「…どこに行くの?」

「あ"?
海っつったら、コンクリで沈める、とか思ってんのか?」

「…違うの!?」

「まぁ、そーゆー時もある。」

「あるんじゃん…」

「冗談はさておき、買い物行こうぜ。」

買い物…
ヤクザの買い物…

「ドスを買ったり…」

「お前は、ヤクザ映画から少し離れろ…」

暁さんが呆れ果てる。

そんな表情をするのを見たのは初めてで、もっとボケてみたくなる。

ダメ…だ…

私は身寄りの無いただのオモチャ…

この人はヤクザ…

超えちゃいけない…

一線を…

そう頭がサイレンを鳴らしているのに、心と身体は全然付いて行かない…

一線を超えたら、きっと…

私は…ここから出られなくなってしまうから…

だから、聞かなきゃいけないんだ、そのサイレンを…!

「おい、ぼーっとしてんな。
行くぞ!」

暁さんは、車のキーを取り靴を履いている。

「あ、はい!
行く!
待って!」

私は玄関に走った。

サイレンと同時に心臓の音が鳴っているのは、その時はまだ気づかなかった…
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