明けない夜はきっと無い…

17

ペントハウスに戻ると、暁さんは、右手で水を飲み、ソファに座った。

「あ、あの…
ごめんなさい…

私のせいで…
怪我…」

私は涙声で謝った。

「かすり傷だと言っただろう?
女1人守れなかったなんて、暁の名に傷がつくだろ。

別にお前の為じゃない。」

暁さんは言った。

「びょ、びょ、病院行きましょう!」

「アホか。
俺が5人を叩きのめしたのがバレるだろーが。
俺を刑務所に入れる気かよ。」

「で、で、でも!
手当しないと!!!」

「分かった分かった…
闇医者を呼ぶから、後で。
それで良いだろ?」

その時、インターホンが鳴った。

「おぉ、神桜《かみざくら》か。
早かったな。
今開ける。」

神…桜…?

銀髪の男性が入ってきた。

神桜さん…って言うんだ…

綺麗な名前…

「まだ居たのですか?」

神桜さんは、私を軽く睨んで嫌味を言う。

綺麗な名前っていうの、撤回!

「それで?
アイツらの身元は?」

「新竜会の下っ端のようですね。
新竜会はどうしてもアナタの首が欲しいみたいですよ?」

「へー。
どうも、俺の首には相当な賞金が付いてるらしいな。」

「…左手。」

「あぁ、ドジっちまったんだよ。
俺らしくもないよな。

後で闇医者を呼んでくれ。」

暁さんは、明るく言う。

しかし、神桜さんから冷たい視線を感じる。

「夜宵のせいじゃねーよ。」

「アナタが5人程度の下っ端に手傷を負うとは考えられませんが…」

「猿も木から落ちる、って言うだろ。
新竜会か…

いずれ抗争になるかもな。」

「新竜会に付いてるバックは、天雷会の可能性があります。」

「ほー。
いよいよ、手打ち盃が破られる日がくるか…」

暁さんが不敵に笑いそう言った。
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