明けない夜はきっと無い…

18

手打ち盃???

何だろ、それ???

とにかく、神桜さんは帰り、その15分後に闇医者がやってきた。

手当が終わり、暁さんは寝室から出てきた。

「怪我の程度は…!?」

私は言う。

「あぁ、ちょっと腫れてるけど、折れてはねーし、大した事ないってよ。」

暁さんが言う。

私は一安心した。

「けど、飯が作れねーな。
しばらくは、デリバリーするか。」

「私の料理で良ければ作るけど…」

「へぇ、作れんの?」

「うん…
ずっと私が作ってたから…」

「そうか…
じゃあ、食料だけネットスーパーで頼んどくか。
何が要るか、書き出しといてくれ。」

「分かった。」

そして、私は、人参とごぼうのきんぴら、肉じゃが、豆腐の味噌汁、鶏胸肉のしそわさび醤油を作った。

「マジか…」

「中学生になってから、スーパーの惣菜ばっかりの家の料理に嫌気がさして、和食料理の本を買って一から覚えたの。」

「へー…」

暁さんは、それだけ言うと、席についた。

彼は決して私の過去を聞こうとしなかったし、自分の過去も喋らなかった。

それが、嬉しくもあり、ちょっと寂しくもあった。

「「いただきます!」」

「おぉ、上手い!」

「でしょ?」

「うん、これだけ作れれば十分だな。
夜宵、明日俺は仕事があるから、留守番しててくれ。」

「えーと、仕事って…
違法賭博の仕切りとか…?」

「だから、昔のヤクザ映画の見過ぎだろ。
今のヤクザはスマートなんだよ、もっと。」

「ふぅん…?」

いまいち何を仕事と呼んでいるのか、よく分からない。

「何かあったら、俺の携帯に連絡しろ。
番号書いとくから。」

どうして…
あなたはどうしてそんなに優しいの…?

例え、好きになっても…
叶わないのに…
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