明けない夜はきっと無い…
20
side暁
その日、仕事が終わったら直帰しようとしたのだが、華栄会の若頭の1人、八雲《やくも》に捕まってしまった。
八雲は相変わらず強引に俺を飲みに誘った。
そして、仕事の話もあると言う。
仕方なしに俺は1時間以内に帰るという条件付きで、八雲との飲みに付き合った。
会員制のバーに行き、奥の席に座った。
俺はショートメールで、『少し遅くなる』と夜宵に打った。
俺が携帯電話をいじるのを見た八雲は、大袈裟に驚くフリをした。
「携帯電話嫌いなお前が、LINEかよ?」
「LINEじゃない、ショートメールだ。」
「どっちだって良いさ、そんなのは。
そんなに家に置いてきた子猫ちゃんが気になるのか?」
八雲は言う。
「保護してる以上、責任がある。」
俺は答えた。
「なーにが、責任だよ!
ヤクザにそんなもんあってたまるかよ!」
八雲はビールをぐぐいと飲んでそう言った。
「で、話ってなんだよ?」
俺は話を切り出す。
「あぁ、もう知ってるかもしれないが、天雷会の動きがどうも怪しい。
新竜会は、捨て駒だから、そんなに危惧する必要は無いが…」
八雲は言う。
「しかし、華栄会と天雷会は、上手く棲み分けていたはずだろ?
なぜ、急に牙を剥くんだ?」
「この不況やら、経営力不足やらで、どうも天雷会のシノギが減っているらしい。
そこで、俺たちのシマを荒らしたいのさ。
そして…」
「そして?」
「華栄崇史《かえいたかふみ》が絡んでるかもしれん。」
「あの、チキンか。ふん。」
「だが、内情を知るだけに厄介だぞ?
まぁ、話というのはそれだけだ。
子猫ちゃんによろしくな。」
「何か分かったら、情報交換しよう。
じゃあな。」
俺は足早に去った。
その日、仕事が終わったら直帰しようとしたのだが、華栄会の若頭の1人、八雲《やくも》に捕まってしまった。
八雲は相変わらず強引に俺を飲みに誘った。
そして、仕事の話もあると言う。
仕方なしに俺は1時間以内に帰るという条件付きで、八雲との飲みに付き合った。
会員制のバーに行き、奥の席に座った。
俺はショートメールで、『少し遅くなる』と夜宵に打った。
俺が携帯電話をいじるのを見た八雲は、大袈裟に驚くフリをした。
「携帯電話嫌いなお前が、LINEかよ?」
「LINEじゃない、ショートメールだ。」
「どっちだって良いさ、そんなのは。
そんなに家に置いてきた子猫ちゃんが気になるのか?」
八雲は言う。
「保護してる以上、責任がある。」
俺は答えた。
「なーにが、責任だよ!
ヤクザにそんなもんあってたまるかよ!」
八雲はビールをぐぐいと飲んでそう言った。
「で、話ってなんだよ?」
俺は話を切り出す。
「あぁ、もう知ってるかもしれないが、天雷会の動きがどうも怪しい。
新竜会は、捨て駒だから、そんなに危惧する必要は無いが…」
八雲は言う。
「しかし、華栄会と天雷会は、上手く棲み分けていたはずだろ?
なぜ、急に牙を剥くんだ?」
「この不況やら、経営力不足やらで、どうも天雷会のシノギが減っているらしい。
そこで、俺たちのシマを荒らしたいのさ。
そして…」
「そして?」
「華栄崇史《かえいたかふみ》が絡んでるかもしれん。」
「あの、チキンか。ふん。」
「だが、内情を知るだけに厄介だぞ?
まぁ、話というのはそれだけだ。
子猫ちゃんによろしくな。」
「何か分かったら、情報交換しよう。
じゃあな。」
俺は足早に去った。