明けない夜はきっと無い…

22

次の日、私はいつの間にかベッドに寝ていた事に驚いた。

あぁ…
そっ…か…

アレ、夢じゃ無かったんだ…?

私の過去を暁さんは知ってしまった…

どう思うのだろうか?

可哀想?
汚らわしい?

どちらも、思われたくなかった。

私は可哀想でも、汚らわしくも無い。

そう思いたい。

だけど…

私は忍足でリビングに下りていった。

暁さんは、いつも通りエプロンをつけ、手際良く何かを作っている。

甘い匂い…
バニラとメープルと…

「お!
起きたか!

パンケーキ大丈夫だよな?」

「うん…大丈夫…だけど…」

「だけど、なんだよ?」

「ヤクザってパンケーキ作るんだ…」

「そこかよっ!
良いのいいの。
俺は第3のヤクザを目指すから。」

暁さんがパンケーキをひっくり返しながら言う。

「ひ弱系ヤクザ?」

「誰がひ弱だ!
そういうことじゃ無いだろ!」

暁さんは本当に怒り出したので、なんだかおかしくなって笑ってしまった。

だけど、私が笑うと、彼はほっとしたような表情を浮かべた。

やっぱり…
可哀想だって思われてるんだ…

私はそう思って、愛想笑いを浮かべた。

その時から、私たちはすれ違って行ったのかもしれない。

私に悪魔が、同情されているだけだ、と囁いた。

そして、私は…

その言葉を…

信じ込んだ…










「あーそのアレだ…」

暁さんが言う。

「それじゃ分からないわ。」

「で、で、で…」

「で?」

「出かけるぞ…!」

「はぁ…
どこに???」

「隅田川で花火大会あるだろ?」

「うん。
えっ!?
連れてってくれるの!?」

「いや、花火大会は無理だから…
その下準備にな。」

「花火大会の下準備…???」

なんだか良く分からない。
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