明けない夜はきっと無い…

27

私はナポリタンを食べながら、じっと暁さんを見る。

暁さんは、しょうがなさげに、電話の内容を私に話した。

「俺や神桜は華栄会に属しているんだが…」

華栄会!?
華栄会といえば、天雷会と社会を二等分する日本で最も大きな組だ…

え、じゃあ、暁さんはそのNo.2って事…?
だ…よ…ね…

「どこから話せばいいのか…

華栄会には、若頭が5人いる。
その内の1人八雲涼平《やくもりょうへい》が、今度の集まりを仕切る事になっている。

集まるのは、ヤクザばかりだが…

その八雲がお前にも招待状を出すと言っている。

八雲が仕切るのは、夏の"向日葵の会"だ。

…どうする?」

暁さんは、珍しく心配そうな面持ちで尋ねた。

「行く!」

「即答かよ…
あのな、ヤクザばっかりなんだぞ?」

「だから、行くってば。」

「…分かった。
そう返事をしとく。

気が変わったらいつでも止めていいんだぞ?」

「分かった。」

私はそう答えた。

別に、軽い気持ちで言った訳じゃ無い。
ただ、彼がどんな世界を背負っているのか、知りたかった。

もっと知りたい、暁さんの事…

そう思うのは、暁さんを好きだから…?

多分、そうだと思う。

だけど、その時の私は分かってなかった。

知らない方が幸せな事もあるってこと…













暁さんが、おそらく八雲さんに電話している。

「あぁ、八雲か?

夜宵も連れて行く。
本人が行きたいとさ。

警備は厳重なんだろうな?」

暁さんがいつもより僅かに低い声で電話をしている。

「はぁ?
なんだそりゃ???

…分かったよ。

伝えておく。」


暁さんは、すっとんきょうな声で何かを聞き返した。

そして、電話は切られた。
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