明けない夜はきっと無い…

30

「夜宵、俺は面子もあるからお茶会に出るけど、お前はどうする?」

「私、中庭に出て向日葵を見てるわ。」

「分かった…
俺の目の届く範囲に居ろよ?」

「はいはい。」

そして、暁さんがお茶会に出ると、私は縁側から降りて中庭の向日葵の香りを吸い込んだ。

その時。

「ねぇ。」

私に声をかける水色の浴衣を着たショートカットの美少女が現れた。

「え、私?」

「そう、ちょっとお話があるのよ。
裏庭の向日葵も見事よ。
行かない?」

「うーん…
でも…」

「すぐに話は終わるから。」

「じゃあ、少しだけ…」

私はその少女と裏庭に向かった。

そこには、枯れた向日葵が並んでいた。

「あの…
話って…?」

「私はね、暁さんの婚約者なの。」

少女はたしかにそう言った。



こん…や…く…しゃ…?



「びっくりしてるみたいだけど、本当よ。
後で聞いてみると良いわ。

だから…
今あなたがものすごく邪魔なのよ…

カタギのくせに、ヤクザに色目使いやがって!」

「色目なんて、私…」

「じゃかましぃ!!!!
色目じゃ無かったらなんなのさ!?

さっさと風俗に売り飛ばされろや!」

私は何も言えない。

「まぁ、アンタにもチャンスあげても良いけど…

そう、どっちが暁さんにふさわしいか、勝負しない?」

「勝負…?」

「そう、コレね。
中国のマフィアから買った、ロシアンチョコレートって言うのよ。
ちょうど4個入ってて、毒入りが一つ。」

「…負けたら死ぬってこと?」

「死にはしないけど、病院行きでしょうね。
もしかしたら、後遺症が残るかも。」

「私…
やるわ…」

私はまっすぐに彼女を見てそう言った。
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