明けない夜はきっと無い…

32

私は平静を装い中庭に戻った。

ちょうどお茶会が終わる所だった。

暁さんは、私の元に来ると、「どこに行っていたんだ?」と尋ねた。

私は、「裏庭にも向日葵があるかと思って見に行った。」とだけ言った。

「裏庭は日が当たらないから、向日葵も枯れてるだろ?」

暁さんは不審そうにそう言った。

「うん、知らなかったのよ。
でも、涼しくて、日が当たらないのも悪くなかったわ。」

「そうか…」

そして、向日葵の会は、夕方頃に終わった。

美香さんの事…
聞こうかどうしようか、迷ったけれど…

勘繰られそうなので、止めておいた。

もしも、ロシアンチョコレートした事がバレたら、なんとなく怒らられそうな気がした。

ヤクザは女も気が荒い。

それだけ教訓として胸の奥に刻んだ。










2人とも疲れていたので、今日の夕食はコンビニで買う事にした。

私は精神的にかなり疲れていたし、暁さんもそう言った集まりは苦手だと言っていた。

コンビニで選んでいると、暁さんはさっさとカツカレーをレジに持って行った。

私はエビグラタンか、ハンバーググラタンで悩みに悩んでいる。

そして、エビグラタンに心が傾きかけた頃に、私は、背後の男からクロロホルムを嗅がされた。

あ…か…つき…さ…

私の最後の記憶はその言葉だった。












気がつくと、私はコンクリートの匂いのする床に転がされていた。

両手・両足をキツく縛られ、口にはガムテープが貼られている。

そこは、何かの倉庫のようで、かなりの広さだった。

おそらくヤクザが20人ほど居た。

しまった…!

そう思った時にはもう遅かった。
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