明けない夜はきっと無い…

33

side暁

夜宵があまりにも遅いので、グラタンコーナーに向かった。

居ない…

エビグラタンが床に落ちて転がっていた。

俺は一気に嫌な予感がした。

トイレも空で、もちろん車にも乗っていない。

ふと見ると、車のワイパーに紙切れが挟まっていた。

『女の命が惜しければ、何も持たずに丸腰で◯×◯×の倉庫に来い。

仲間に連絡したり妙な動きを、我々が確認した時点で、女は殺す。

お前は常に見張られている。』

とあった。

なるほど、新竜会にしては中々頭を使ったじゃないか?

つまり、今も俺を見張る追跡者が何人か居ると考えて良いだろう。

そして、盗聴器か監視カメラがどこかに仕掛けられているかもしれない。

携帯電話を使って連絡を取るのは、自殺行為だ。

夜宵は絶対に殺させはしない。

絶対に…

俺は携帯電話を地面に放り投げて、車に乗った。

そして、指定された倉庫に向かった。

倉庫の前に着くと、銃を持った数人の男が現れ、ボディチェックされた。

そして、中に押し込まれた。

よろけながら、倉庫の中に入ると、夜宵がナイフを喉に突きつけられていた。

気丈にも泣いてはいなかった。

そして、横に並べられた鉄筋の柱の上に華栄崇史が座っていた。

「くっくっっくっくっ!

いつもすましてるお前がこんなクソガキのために丸腰で来るとはなぁ?

笑が出るぜ!

落ちぶれたもんだなぁ。」

「来たんだから、彼女は解放しろ。」

俺は一応言ってみる。

「はぁぁぁ?
解放?

馬鹿かお前!

ここがお前ら2人の墓場だよ。

ひゃっひゃっひゃっ!」

相変わらず汚い笑い声だった。
< 33 / 60 >

この作品をシェア

pagetop