明けない夜はきっと無い…
53
side暁
その日、ユウシャンはホテルに一旦戻ると言って、マンションを出て行った。
正直、もう戻ってくんな!
と、思ったが、大事な客人とオヤジが言う以上、簡単に彼を不快にさせるわけにもいかなかった。
『また、マンションに戻ってくるから、夜宵によろしく♡』
とか、なんとか言ってユウシャンは帝国ホテルに戻った。
俺も、流石に今日は会社に出なければならない。
夜宵に誰が来ても開けるな、ときつく言って、ブルーローズ社へ向かった。
俺は今だに、ユウシャンが夜宵にした事を思い出すだけで、ヤツを刺し殺しそうになっていた。
そんな気持ちをなんとか押し留めて、会社に着いた。
副社長である神桜に色々と指示を出し、書類の整理をし、ようやくひと段落ついた頃、携帯にユウシャンから連絡があった。
『やぁ。』
『何の用だ、ゲス野郎。』
『そう言うなよ。
夜宵の事は謝るからさ。
今日、話したいことがある。
2人で飲まないか?』
『…分かった。』
謝って済むなら、ヤクザもマフィアも要らねーだろ、と思ったが、とりあえず話を聞く事にした。
銀座の会員制のバーに向かい、ユウシャンの座っていた奥の席に座った。
『話ってなんだ?』
俺は中国語で切り出す。
『僕がね、何故華栄会に力を貸すか、分かるかい?』
『中国マフィアが気に入らないからだろ?』
『まぁ、平たく言えばそうなるけどね。
中国マフィア・義安《ぎあん》に妹を人質に取られている。』
『妹…?』
『以前の抗争で負けた先代の父は、争いを回避する為、妹を人質に差し出したんだ。
僕の双子の妹だ。
彼女は僕の片割れであり、僕の魂の半分だ。
そして、彼女は今日本に居るらしい。』
ユウシャンは語った。
その日、ユウシャンはホテルに一旦戻ると言って、マンションを出て行った。
正直、もう戻ってくんな!
と、思ったが、大事な客人とオヤジが言う以上、簡単に彼を不快にさせるわけにもいかなかった。
『また、マンションに戻ってくるから、夜宵によろしく♡』
とか、なんとか言ってユウシャンは帝国ホテルに戻った。
俺も、流石に今日は会社に出なければならない。
夜宵に誰が来ても開けるな、ときつく言って、ブルーローズ社へ向かった。
俺は今だに、ユウシャンが夜宵にした事を思い出すだけで、ヤツを刺し殺しそうになっていた。
そんな気持ちをなんとか押し留めて、会社に着いた。
副社長である神桜に色々と指示を出し、書類の整理をし、ようやくひと段落ついた頃、携帯にユウシャンから連絡があった。
『やぁ。』
『何の用だ、ゲス野郎。』
『そう言うなよ。
夜宵の事は謝るからさ。
今日、話したいことがある。
2人で飲まないか?』
『…分かった。』
謝って済むなら、ヤクザもマフィアも要らねーだろ、と思ったが、とりあえず話を聞く事にした。
銀座の会員制のバーに向かい、ユウシャンの座っていた奥の席に座った。
『話ってなんだ?』
俺は中国語で切り出す。
『僕がね、何故華栄会に力を貸すか、分かるかい?』
『中国マフィアが気に入らないからだろ?』
『まぁ、平たく言えばそうなるけどね。
中国マフィア・義安《ぎあん》に妹を人質に取られている。』
『妹…?』
『以前の抗争で負けた先代の父は、争いを回避する為、妹を人質に差し出したんだ。
僕の双子の妹だ。
彼女は僕の片割れであり、僕の魂の半分だ。
そして、彼女は今日本に居るらしい。』
ユウシャンは語った。