明けない夜はきっと無い…

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風邪で寝込む私に、暁さんが、お粥と薬を持ってきた。

とても、食べられる気分じゃ無かったし、薬は嫌いだった。

「要らない」と、言うと、薬だけでも飲んでくれ、と言われた。

「やだ、嫌い、薬。
寝てれば、治る。」

私はわがままを言った。

そしたら、暁さんは薬を自分の口に入れ、キスで無理矢理飲み込ませた。

その後の水も、全部口移しだった。

何故?
私の事好きじゃ無いなら…

ヤサシクシナイデ。

好きの言葉が無いキスなんて…

イラナイ。

私が欲しいのは、愛されてる証拠…

真っ暗闇を明るく照らす太陽を待っているだけ…

でも、それは暁さんじゃ無いの…?

神桜さんなの…?

モウワカラナイ…

私は深い眠りに落ちた。










何時間眠っていたのだろうか?

起きた時には、私は熱も下がり、なによりお腹が空いていた。

リビングにそっと顔を出すと、暁さんが新聞を読んでいた。

「夜宵!
大丈夫なのかよ?」

暁さんは笑顔を見せる。

私はなんだか、心が痛むけれど、笑顔を作った。

「うん、お腹空いちゃった!」

「待ってろ。
たまご粥作るから。」

「ありがとう。」

暁さんは、少し迷ってから、私にこう言った。

「さっき、神桜が来た。」

「ふ、ふぅん、そ、そうなんだ。」

ヤバイ、明らかに動揺している。

「お前の事が好きだと、宣戦布告されたよ。」

私は飲んでいたミネラルウォーターを吹き出す。

「そ、そ、それで、暁さんは何て答えたの?」

「そ、そ、それは…」

「それは?」

「俺のオモチャに手ェ出すなって、凄んだよ。」

「あっそ!」

私はトゲトゲしくそう言った。
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