明けない夜はきっと無い…

8

朝起きると、私の側に暁さんは居なかった。

だけど、ベッドはまだ暖かい…

私は目を擦りながら、リビングに降りた。

「今日の朝ごはんは、オムライスだぜ。」

「オムライス…」

本当の父がまだ健在だった頃、母も優しく、日曜日の朝は必ずオムライスだった。

私はその事を思い出し、僅かに涙腺が緩んだ。

何とか喉の熱を飲み込み、「顔洗ってくる」と言って洗面所に向かった。

リビングに戻ると、私のオムライスとスプーンは、テーブルの上に置かれていた。

「???

あの…?」

「何?
寝起きのチュー?」

「違くて。

テーブルで食べて良いの?」

「…あぁ、そんな事かよ。
お前はペットから、オモチャに格上げされたんだよ。
テーブルで食べろ。」

ペットからオモチャ…
それって、格上げ…???

「何だ?
文句あるのか?」

「食べます!」

暁さんの怒りに触れない内に食べ始めた。

オムライスはふわふわで、ケチャップの甘みと酸味が、やっぱり昔を思い出させた。
私の割と大きな瞳から、涙がぽたりと落ちた。

どうして、こうなってしまったんだろう…?

父が死んで、母は男遊びをするようになり、私はイジメに遭いだし、さらに性的虐待を受けた。

我慢していた物が一気に破裂したように溢れ出た。

お父さんが死んだから…?
お母さん、私が死ねば良かったの…?

私の割と大きな瞳からは、涙が溢れた。

だけど、暁さんは何も言わないで、私のコップに水を注いだ。

食べ終わった後(私は半分残した)、食器を片付けながら、私は暁さんに「ゴメンなさい…」と小さく言った。

「別に…」

暁さんは、ぶっきらぼうにそう言った。
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