あまく翻弄される

とりあえず寝起きに一気に起こった出来事にショートした私は何をとち狂ったのか、体を倒し伊織くんの胸にそのまま顔を埋めた。


「………み、見ないで」


クスクスと笑うのが触れた体全体に伝わってくる。

こっちの方が何倍も恥ずかしいことしてると伝わってくる体温にやっと気づいた。

固まった私に気付いて伊織くんは、笑うのをやめて低く真面目な声を出した。



「……誰かと勘違いした?」

「え?」

「答えて」

まるで魔法にかかったかのように素直にゆるゆると首を振る。

いつも温厚で優しい敬語の伊織くんと、
低い声で艶っぽく色気を振りまくタメで話す伊織くん。

どっちも同じ人物なのにまるで別人みたい。

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