あまく翻弄される
「……俺以外にそんなことしないで」
いつの間にかその声に従うようにこくこくと頷いていた。
「雷斗もだめ」
うん!?驚いて顔を上げると、至近距離で瞳が合う。
あ、上げなきゃ良かった……。
色っぽい伊織くんがこちらを艶っぽく見ていた。
今さらその胸に顔を埋める訳にもいかず、おろおろと視線を動かす。
「返事は?」
「……は、はい…」
「いい子」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
それも年下にいい子なんて言われながら。
「鳴さん、朝ごはんにしましょう」
「……うん」
その切り替え方がよくわからないでいた。