あまく翻弄される

「姉貴。伊織のモーニングコールどうだった?」

ニヤニヤと笑う雷斗の頭を軽く小突く。
それを軽々避けた雷斗は標的を伊織くんへと変えた。


「馬鹿なこと言わないで」

「伊織はどうなんだよ?」

「………さあ?内緒」

「絶対何かあっただろ!教えろよ!」


きゃんきゃん騒ぐ雷斗を余裕淡々にあしらう伊織くん。

そんな彼となるべく目を合わせないようにして何とか朝食を切り抜けた。

意識しないようにしてるのにどんどん意識してしまう。

それもこれもあの時々出てくる色っぽい伊織くんのせいだ。弟の友達に恋するとか、絶対だめに決まってる。

私が振られたら雷斗が伊織くんと気まづくなるし、それだけじゃなくてきっともう今のように話すことはなくなる。

それは少し、寂しいから。


朝のあれは事故。
お互い寝ぼけてたってことにしよう。

うん。それがいいよねきっと。そうしよう。

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