あまく翻弄される

「……その人、女タラシか何か?」

「やっぱりそう思う?」

「そんな言葉がさらりと出てくるあたり遊んでそう」

「……だよね」



私を好きなのかな?とは一瞬思った。本当に一瞬だけ。
ちくりと痛む胸に、
……何自惚れてんの恥ずかしいと自嘲する。


「弟くんの友達なんでしょ?なら尚更本気にしない方がいいんじゃない」

「……うん…」


雷斗は派手に遊んでるらしく同じ学校の子も時々雷斗の話題を出す。
さすがに私が雷斗の姉だとはバレていないけど。
ノノちゃんだけは知っている。



恋愛経験0で好きになった人もいない。
そんな私に伊織くんは刺激が強すぎる。



「………鳴、」



何か言いたげにこちらを見ていたノノちゃんの声は、お昼休みの終わりを伝えるチャイムの音にかき消された。

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