あまく翻弄される
突然の言葉に目を白黒させていると、目の前の彼は私の手を取って立ち上がり意気揚々と声を上げた。
「俺たち抜けるね」
その言葉に冷やかすように男達は口笛を吹いてばいばいと手を振られる。
慌ててクラスメイトの子たちを見ても、こちらの事に気付いてないらしく、楽しそうに会話を続けている。
「俺たちまじ運命的じゃね?」
その言葉に曖昧に微笑む。
運命なんてそんなものあるのかな。
もしもあるのなら私は──
そこまで考えて首を大きく振る。
……こんな時に弟の友達が出てくるなんてどうかしてる。
そんなことを考えていたから手を引かれて強引に歩く先がどこかなんて気にも留めてなかった。
「もうすぐで俺の家なんだけど、来るよね?」
「え?」
「ね?おいでよ、メイちゃん」
三日月に歪むその瞳がなんだか恐くて、足を止めた。