あまく翻弄される




「帰ったら冷やしましょう」

「大げさだよ」

「消毒も念入りにしましょう」


そう言った伊織くんに苦笑しながら2人で帰路を辿った。


その夜、

「後から知ったんだけど東雲ちゃんとあの男が2人でいなくなったって聞いて超焦った!アイツらが変な男連れてきてごめんね!」

捲し立てるようにクラスメイトの女の子は電話口でそう言った。

彼女たちもあの彼とは初対面で、後から女癖が悪いと聞いて私を心配して焦って電話してきてくれたらしい。


「大丈夫だよ。ありがとう」

頻りに謝る彼女にそう言って、今度はちゃんとまた遊ぼうと約束して電話を切った。

< 28 / 75 >

この作品をシェア

pagetop