あまく翻弄される
「いえ、俺はただ鳴さんと放課後デートがしたかっただけなので」
「え?」
「──男女が二人で出かけたらデート、ですよね」
さらりと顔色一つ変えずそう言う伊織くんに思わず驚きのあまり口をぱくぱくと開閉させる。
そんな私を見透かしたように吐息だけで笑うと、男性にしては華奢な指をこちらへ伸ばし優しい手つきで右耳に髪をかけた。
「………」
「……伊織くん…?」
「いえ、なんでも」
伊織くんが凝視する耳が真っ赤になっていたことに気付かず、相変わらずの距離感に息を詰めていると満足そうに笑った。
伊織くんはちょっと心臓に悪い子だ。
恋愛経験0の私には刺激が強すぎる。
意識しない。伊織くんは雷斗の友達。
自分に言い聞かせるように大きく深呼吸をする。
よし、大丈夫。
「え?」
「──男女が二人で出かけたらデート、ですよね」
さらりと顔色一つ変えずそう言う伊織くんに思わず驚きのあまり口をぱくぱくと開閉させる。
そんな私を見透かしたように吐息だけで笑うと、男性にしては華奢な指をこちらへ伸ばし優しい手つきで右耳に髪をかけた。
「………」
「……伊織くん…?」
「いえ、なんでも」
伊織くんが凝視する耳が真っ赤になっていたことに気付かず、相変わらずの距離感に息を詰めていると満足そうに笑った。
伊織くんはちょっと心臓に悪い子だ。
恋愛経験0の私には刺激が強すぎる。
意識しない。伊織くんは雷斗の友達。
自分に言い聞かせるように大きく深呼吸をする。
よし、大丈夫。