あまく翻弄される




「──恋人って何したらいい?」

「さっきの勢いはどこ行ったのよ」

「よく考えて。恋愛初心者にはわからないよう…」


──とりあえず、放課後迎えに行けば?


ノノちゃんのその言葉に従い、雷斗も通う伊織くんの高校に来たはいいもののあまりの場違い感に心臓がドコドコと跳ねている。

校門のまえに立って早10分。心が折れそう。
下校する生徒がこちらを見る視線が痛い。そりゃあそうだよね、他校の生徒だし。

連絡も無しに来ちゃったし、もしかしてもう帰ったのかな。……私ももう帰ろうかな。

浮かれていた気持ちが急激に萎んでいく。



「───鳴さん?」


まるで救いあげるように柔らかなその声が耳に届いた。


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