あまく翻弄される
唇をぺろりと舌で舐められ、受け入れるように僅かに口を開けばするりと柔らかい舌が絡み合う。

見ていたいのに互いの顔もぼやけてしまう距離ではただ重なった唇がお互いの存在を強く示している。



「……伊織くん、愛してる」



肥大化して破裂しそうなこの感情をどうしても伝えたくて。

キスの合間に息もとぎれとぎれで格好はつかないけどなんとか伝えると、

「……今は生殺し」


そう言って唇を離すと、私の肩に頭を埋めて強く強く抱きしめられる。苦しいくらいに。


「………鳴さん、俺も愛してる」



そう言って名残惜しそうに体を離した伊織くんは私の左手の薬指を指でなぞった。

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