灰を被らないシンデレラ




「私の方が柊に相応しいはずなのに。家柄も容姿も学歴も全て私の方が優れてる。体だって…ねえ、私たち相性良かったでしょう?…私の方が、ずっとずっと柊を愛してるのに!」


わああ!と叫びながら泣き崩れる沙里奈に柊は何も言わず軽蔑の視線だけを向ける。


「そんな女がなんだって言うのよ!若いだけで何も無いじゃない!柊の隣に居るべきは私!愛されるべきは私なのよ!」


泣き過ぎて充血した真っ赤な目が憂を射抜く。


「それなのに…出会ってたかが1年にも満たない癖に…どうしてあんたなんかが愛されるの?あんたばっかり…!碌でもない生まれの癖に!…っ返してよ!私の柊を返して!」


悲痛な叫びは少なからず憂の心を抉った。

同じように柊に心を寄せる女ーーいや、それ以上に柊を愛する女の姿に自分が重なる。


憎い恋敵、柊との仲を引き裂こうとした最低な女なのに恐怖以外の感情を持てなかった。




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