灰を被らないシンデレラ
色気もへったくれもない会話なのに、それすらもときめいてしまった自分はもう末期だ。
きっと憂の不安など、ずっと前から柊は分かっていたんだろう。
分かっていて、待ってくれていた。
この6年間ずっと柊は脇目も降らず憂だけを愛してくれて、それは薄れるどころかどんどん強くなっていった。
長い時間をかけて彼の言葉に嘘は何一つ無いと証明してくれた。
だから今は、柊の言葉なら全て信じられる。
「……」
憂は意を決し、柊の手を取って自身の下腹部にそれを当てた。
「…ちゃんと、どっちも愛してよ?」
耳まで真っ赤に染め、涙目になりながら上目遣いで見つめてくる憂の姿にこの瞬間、柊の理性は木っ端微塵に破壊された。
「当たり前だわ。…死ぬまで愛し尽くしてやるよ」
そうして柊は憂の小さな唇を喰むように何度も重ね、その妖艶な身体の奥深くまでその身を堕としていった。