灰を被らないシンデレラ



その単語にピタリと手の動きが止まる。

とうとう言ってしまった。
これまで誰にも言ってこなかったが、憂はれっきとした生娘である。

凹凸の激しい体つきから誤解されがちだが、憂は一度だって誰かに身体を許したことは無い。
キスだって初めてだった。

だから突然深いキスされて息の仕方なんて分からなくて、あわや酸欠になりかけた。

そんな憂の反応に思う事があったのだろう、柊の手がゆっくり下へと降りていく。

処女など面倒くさいと飽きられたかと思い安心したのも束の間、柊の手は憂の脚の間にある大事な場所に躊躇なく触れた。


「言葉だけならどうとでも言えるんだよ。手っ取り早くこっちに聞く」
「ひっ!」


そこからはもうパニックだった。


結局行為は最後まで行われ、憂の体は隅々まで堪能され挙句開発されるに至った。

途中、確かに憂が処女である事を知り機嫌を良くした柊にこれでもかと快楽を覚え込まされた時は冗談抜きで本気で死ぬかと思った。

全てが終わったあと「お前素質あるぞ」と晴れ晴れとした顔で言われた時には殺意すら芽生えたが、動かない体ではどうする事もできなかった。


こうして憂の作戦は悉く失敗に終わり、極悪非道な婚約者との初対面を果たしたのだった。







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