灰を被らないシンデレラ
小難しい話はこれで終わりにしよう。
頭が痛くなってきた。
つまりこの婚約は、互いの会社の繋がりをより強固なものにするための紛う事なき政略結婚。
本当に何処にでもあるよくある話だ。
疑問に思う事があるとすれば、この話を持ちかけたのは父ではなく柊の方からだったとの事。
面識など一切記憶に無いが、やはりきちんとしたパートナーがいるのといないのでは色々と周囲の反応が違うのだろうと、憂は他人事のように思っていた。
それにしたって10も年下の大学生を婚約者の立場を利用して手籠にするなんて大人のやる事じゃ無い。
そう思いはするものの、あらゆる方面で経験の浅い憂はあれよあれよという間に結婚までもちこまれ、柊という王子の皮を被った野獣と同じ屋根の下新婚生活を余儀なくされた。