灰を被らないシンデレラ




「何するの離してよ」
「お前こそ何度言えば分かんだ。下着も着けずに外出てるんじゃねえよ」
「外って言ったってベランダだし…それに誰も見ないし良いじゃない」


柊と住む新居は高層階にあり、周りには近隣の建物の屋上か空しか見えない。

唯一鳥には自分の格好が見えているだろうが、だからなんだというのだ。


「駄目だ。後俺がやるから中入れ」


そんでサッサと着替えてこいと半ば強引に中へ押し込まれた。

何なんだもうと思いつつ、素直に着替えてエプロンを身につけキッチンに立つ。

元々朝は食べないと言っていた柊だったが、同居を始めて3日ほど経った頃だったか、突然自分も食べると言い出し用意させられてから朝食を共にするようになった。

夜は仕事だったり会食だったりで不在な事も多いので、実質朝の時間だけが2人で一緒に食事を囲める唯一の時間になっている。




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